資産管理会社を設立することで、相続税対策に有効な手段がいくつかあります。ここでは、具体的な方法とそのメリットについて詳しく解説します。
1. 不動産の法人化による評価額の引き下げ
方法
個人が保有している不動産を資産管理会社に移転することで、相続時の不動産評価額を引き下げることが可能です。通常、相続税の計算において、不動産の評価額は路線価や固定資産税評価額で算出されますが、法人に不動産を移転した場合、法人の株式評価に基づいて相続税が計算されます。この株式評価は、不動産を個人で保有する場合よりも低くなることが多いため、結果的に相続税負担を軽減することができます。
メリット
- 相続税評価額の低減: 個人で所有するよりも低い評価額で相続税が計算される可能性が高い。
- キャッシュフローの確保: 資産管理会社からの賃料収入が法人に集約されるため、個人のキャッシュフローが安定する。
デメリット
- 移転時のコスト: 不動産の法人化には、登録免許税や不動産取得税が発生します。また、譲渡所得税がかかる可能性もあります。
2. 賃貸不動産の法人保有による評価額の引き下げ
方法
賃貸不動産を資産管理会社に所有させることで、相続税評価額を引き下げる方法です。賃貸物件は、自用の物件と比較して評価額が低く見積もられる傾向があります。さらに、賃貸物件を法人名義で所有することで、評価額をさらに抑えることができます。
メリット
- 減額割合の適用: 賃貸不動産に対する相続税評価では、賃貸割合によって評価額が減額されます。この減額を最大限に活用することで、相続税の負担を軽減できます。
デメリット
- 管理の複雑化: 賃貸物件を法人化することで、運用や管理が複雑化する可能性があります。法人としての管理業務が増えるため、経営の負担も考慮する必要があります。
3. 持株会社設立による株式評価額の引き下げ
方法
資産管理会社を持株会社として設立し、家族が保有する事業会社の株式を資産管理会社に移管します。これにより、株式の相続税評価額を低く抑えることが可能です。特に、自社株の評価額が高い場合、持株会社を設立することで、評価額を適切にコントロールできます。
メリット
- 株式評価額の抑制: 自社株の評価額が高騰している場合でも、持株会社を通じてその評価額をコントロールすることができます。
- 相続税負担の軽減: 経営権の集中とともに、相続税負担を大幅に軽減することが可能です。
デメリット
- 設立・運営のコスト: 持株会社の設立と運営にはコストがかかり、さらに持株会社と事業会社の関係が複雑化する可能性があります。
4. 事業承継対策としての資産管理会社活用
方法
事業承継を円滑に進めるために、資産管理会社を利用することが効果的です。例えば、次世代に事業を引き継ぐ際、事業資産を資産管理会社に移し、後継者がその資産管理会社の株式を継承することで、実質的に事業承継を行うことができます。
メリット
- 相続争いの回避: 資産管理会社を介することで、財産の分割に関するトラブルを防ぎ、相続争いを回避することが可能です。
- スムーズな承継: 後継者への経営権の移転がスムーズに行えるため、事業の継続性を確保できます。
デメリット
- 後継者の負担: 事業承継に伴い、後継者が負担するべき税金や運営コストが発生することがあります。
5. 借入金を利用した相続税評価額の引き下げ
方法
資産管理会社を設立し、会社を通じて資産を購入する際に借入金を利用する方法です。借入金を利用することで、資産の相続税評価額を引き下げる効果が期待できます。例えば、不動産を購入する際に借入金を利用することで、純資産額が抑えられ、相続税評価額が低くなることがあります。
メリット
- 評価額の抑制: 借入金を活用することで、資産の評価額を引き下げることができます。これにより、相続税の負担を軽減できます。
- 資産形成の効率化: 借入金を活用することで、手元資金を温存しながら資産を形成できるため、効率的な資産運用が可能です。
デメリット
- 借入金返済のリスク: 借入金を利用することで、返済負担が増加します。事業や投資のリスクを考慮し、慎重に判断する必要があります。
まとめ
資産管理会社を利用した相続税対策は、複雑で高度な知識を要しますが、正しく活用することで相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。ただし、相続税法や税務当局の監視が厳しくなっているため、専門家の助言を得ながら慎重に進めることが重要です。銀行員として顧客にアドバイスを行う際は、これらの方法を理解し、最適なソリューションを提案することが求められます。


